昨日新聞を読んでいたら、『
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海著)について、著者の岩崎さん自身が語った記事が載っていて、興味深く読んだ。
岩崎さんは、「女子高生とドラッカー」という組み合わせを思い付いたときは、コメディーに仕上げることを考えていたのだとか。
ドラッカーのマネージャー論を、女子高生が間違って野球部のマネージャーにあてはめてしまったところから、ハチャメチャな展開が始まる、みたいな。
ところが、岩崎さんが女子高生の気持ちになってドラッカーの『マネジメント』を読んでみると、最初から最後まで、野球部の運営にはまることばかり。
これではコメディーにならない、ということで、王道の青春小説に路線変更したらしい。
インタビュー記事の最後のほうに、次のような箇所があって、けっこうウルっときてしまった。
《本書の内容は、ビジネスの現場だけでなく、NPOなどの非営利組織でも使えるし、家庭にだって適用できる。でも著者としては、とくに学生に読んでほしい。学校は、部活をはじめ集団行動がとても多い場所だ。にもかかわらず、学生がマネジメントを学ぶ機会はほとんどない。以前、テレビで高校の合唱コンクールのドキュメンタリーを見たことがある。練習の際に、リーダーの生徒がみんなを統率できなくて困っていた。出演者はだれも有効なアドバイスをかけられない。僕はそれを見て、もどかしい思いでいっぱいになった。本書を、あのとき泣いていた彼女に届けたい。》
なぜウルっときたかというと、一つは、テレビで見た一女子高生にそこまで感情移入できる岩崎さんの優しさに、感動したから。
もう一つは、私自身が高校時代、文化祭のクラス出し物でうっかりリーダー役を引き受けて、いかに自分に人を統率する力がないかを痛感させられる体験をしたことを、思い出したから。
佐々木が現在個人事業者なのも、あのときの失敗体験が一因になっているのかも、などと思ったり。
《とくに学生に読んでほしい》という岩崎さんの言葉を読んで、改めて思ったこと。
ドラッカー理論の適用対象という観点で見たとき、「大人の営利組織」に適用するのが常識の理論を、「子供の非営利組織」に適用してしまったのが、この本のユニークさだったのだな、と。
「大人-子供」と「営利組織-非営利組織」の、二つの軸のユニークさがあるわけだ。
「大人の営利組織」のほうが、「マネジメントが重要である」という認識だけは共有されているぶん、拙いマネジメントでも通用してしまう、という面があるのかもしれない。
「マネジメントが重要である」という認識さえ共有されていないような「子供の非営利組織」でも通用するようなマネジメントを考えることが、かえって「大人の営利組織」のマネジメントを根本から見直す視点を与えてくれるのではないか。
なんてことを、ふと考えさせられた記事だった。